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Country spotlight: Japan

日本が無視できない新たなレピュテーショナルリスク

2025年10月

日本は長年にわたり、世界で最も安定した責任あるビジネス環境の一つとして認識されてきました。日本の企業は、信頼性、優れたガバナンス、そして強力な環境管理で知られています。しかし、サプライチェーン、労働慣行、規制当局による監視に関連する新たなビジネスコンダクト・リスクの波が、こうした評判を揺るがしかねない状況になりつつあります。

# 環境面での強みから、新たな脆弱性へ

日本の環境実績は、世界の他国と比べて引き続き優れたものとなっています。米国やEUと比較すると、日本は環境リスクへのエクスポージャーが比較的少なく、全体的にバランスの取れたリスクプロファイルを有しています。他の市場がデューデリジェンスと説明責任の基準を強化する中、日本もまた、長年にわたる企業の自主的な取り組みへの依存から脱却しつつあります。日本サステナビリティ基準委員会が策定した新たなサステナビリティ情報開示基準は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の基準と厳密に整合しています。

# 社会・ガバナンスリスクの浮上 

リスクグループ別のインシデント発生割合 | 会計年度2020年8月~2025年

しかし、日本のサステナブル経営に関するリスク構成を見ると、社会・ガバナンス分野での脆弱性が浮かび上がります。グローバルにデューデリジェンスおよびサステナビリティ規制が拡充される中、人権やサプライチェーンの透明性といった課題はますます重要になっています。EUなどで事業展開または取引関係を持つ日本企業は、国内法の有無にかかわらず、企業サステナビリティ・デューデリジェンス指令(CSDDD)などの基準への適合が求められます。こうしたガバナンス課題は、投資家・規制当局・一般社会による企業の誠実性評価の中心的要素となりつつあります。

# 説明責任の連鎖(サプライチェーンとグリーンウォッシング)

サプライチェーンの透明性は、ますます重要な課題となっています。特に小売業は、サプライチェーンリスクに最も晒されているセクターです。最近発表されたRepRiskのレポートは、小売セクターの中でも特に重要な分野であるファッション業界に焦点を当てており、報告されたリスクインシデントの大部分は人権侵害や劣悪な労働環境に起因していることを明らかにしています。同時に、環境問題や土地利用に関する課題も、特に生物多様性への懸念が、貿易や金融と交錯しながら、日本のサプライチェーンにおけるリスクとして深刻化しています。

一方で、RepRiskのデータは、生物多様性リスクと誤解を招くサステナビリティに関する主張との間に明確な関連性があることを示しています。日本では、金融庁によるグリーンウォッシング対策ガイドラインの導入後、2024年にグリーンウォッシング関連のインシデントが倍増しました。この急増は、必ずしも企業行動の悪化を示すものではなく、むしろ規制当局や投資家による監視の強化、そして企業イメージへの許容度の低下を反映していると言えるでしょう。

# 国別リスクインシデントにおけるグリーンウォッシングの割合

# 人権リスクと政府対応

日本ではまた、社会・労働分野のリスクも上昇傾向にあります。人権侵害は現在、日本の国内リスクの首位に位置し、2021年以降で4ポイント上昇しました。投資家や規制当局がグローバルサプライチェーンの相互関連性を認識する中、劣悪な労働環境や差別的な慣行は、企業の業績と社会的安定性の双方に対する脅威として拡大しているとみられています。

企業は人権尊重の実効性を示すよう求められていますが、倫理的調達や労働基準に関する公約を十分に履行できていない企業も少なくありません。こうした「言行不一致」はソーシャルウォッシングへの懸念を強めています。企業は社会的責任を果たす企業であると自らをマーケティングし続けているにもかかわらず、複雑なサプライチェーンにおける労働搾取の実態は依然として隠蔽され、放置される状況がしばしば見られます。

日本政府は、「責任あるサプライチェーンにおける人権尊重のためのガイドライン」を公表し、企業に対し、人権影響の特定、評価、防止、軽減、そして開示を求めています。しかし、欧州をはじめシンガポールやオーストラリアなどで人権デューデリジェンスの法制化が進む中、自主的対応だけでは国際的信頼を維持するには不十分との見方も強まっています。

# 過去5年間における日本のリスク推移

2020年8月から2025年8月にかけてのリスクの乖離

# 結論:レピュテーションをレジリエンスへ

日本企業は、優れた環境対応だけでは、もはやレピュテーションリスクを回避できる保証にはなりません。将来のレジリエンスは、グローバルな事業活動における環境・社会影響をいかに透明かつ責任ある形で管理できるかにかかっています。ビジネスコンダクト・リスクはすでに戦略リスクへと転化しており、対応の遅れは企業価値に直接的な影響を及ぼす可能性があります。

今後、日本はEU基準との整合性を一段と高め、持続可能性および人権に関する拘束力ある法制度の整備に向けて進展すると見込まれます。デューデリジェンス、リアルタイム監視、情報開示の透明性を早期に組み込む企業は、単なるコンプライアンス対応にとどまらず、日本における責任あるビジネスの新たな標準を形成する存在となるでしょう。

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